偽書「東日流外三郡誌」事件

著者:斉藤光政
発行元:新人物往来社
発行年:2006年
冊数:1冊
詳細:カバー
税込価格:1,260円 売り切れ
カテゴリ:古代史
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偽書「東日流(つがる)外三郡誌」事件
amazon価格:1,890円
歴史の改竄はかくの如し・・
「東日流(つがる)外三郡誌」については専門家はインチキ(「偽書」のレベルにも達していない)と知っていながら「くだらないから相手にしない」対応をとって来ました。
安本美典氏を始めとする有志が取上げなければ古田教授達の煽動?が事実と認識されていたかと思うと恐ろしいものがあります。
1つのウソをストップしなければやがてウソの奔流に史実が流されてしまう恐ろしさをまざまざと認識させてくれます。
それにしてもまだ信じている人がいるとは・・オウム真理教もそうですが、洗脳って解けないもんですね・・
悪貨は良貨を駆逐する
古代東北に、大和王権を凌ぐほどの王国が存在したとするこの「東日流外三郡誌」を巡り、真偽論争はいろいろなマスコミも取り上げ、おりからの古代史ブームもあって、90年代にはかなりの反響を呼びました。
この事件は、ニセモノの古文書を市浦村の村史編纂委員会に持ち込んだ所蔵者の悪行はもちろんですが、それを半ば承知しながら税金を使って刊行した自治体の責任こそ糾弾されるべきものでした。しかし世間は真書派と偽書派の真贋論争に目を奪われ、自治体の責任追及はおざなりになってしまっていた感があります。
また、学界もこの史料があまりにも荒唐無稽だったため、はじめから無視を続けた結果、いいかげんな学者のこれまた無責任な宣伝活動を野放しにしてしまいました。その学者は、かつて古代史論争で一世を風靡したこともあったので、「もしかすると、東日流外三郡誌は本物かも・・・」と思い込んだ人たちを生み出すことになりました。
ちなみに“偽書”というのは、「そこに書かれたことがデタラメである」ということではありません。“偽書”とは、『過去の先人に仮託し、その文書が成立した由来や来歴を偽ったもの』というふうに定義されます。「東日流外三郡誌」は、“江戸時代の寛政期に書かれた”ものであるとしながら、その内容に近代以降の知識がないと書けない事がいくつもあったり、「古文書の筆跡が、所蔵者と同じ」だったことから、『戦後に書かれた“偽書”である』と断定されたのです。
東日流外三郡誌が流布したことにより、本来東北に伝わっていた歴史や伝承が歪められた例は少なくありません。また、それをもとに「村おこし」などの事業を展開した自治体や団体もあります。そういったものは、きちんと修正されない限りは、歪んだまま後世に伝わることになります。その意味では、“東日流外三郡誌事件”は未だ終息してはいないと言えるかもしれません。
オカルトマニアや古史古伝に興味のある人だけではなく、一般の人も読んでいただき、このような事件の起きることの危うさを知っていただきたいと思います、
ダマされたことをちゃんと書き残す。偉大な記録
「東日流外三郡誌」を「つがるそとさんぐんし」とちゃんと読める人、必読の本です。一晩で一気に読んでしまいました。じつに面白い本です。
私もオカルト・超古代史の基礎教養を学びまして、名前は存じておりました。しかしちゃんとしたのを読んだことがない。孫引きとかで知ってるだけで、これ、偽書ファンの特徴ですね。だから本書を読んでると、「このWって人のやり口は杜撰でスカタンでひどいなー」って思うんですけど、全然笑えない。ダマされた人たちをバカにできない。私だって当事者だったらダマされたかもしれないもの。東北人の文化的雰囲気、村おこし等の圧力、自治体や大学教授のお墨付きなどのいろんなバイアスが、この杜撰な「古文書」を堂々と一人歩きさせてしまった。その構造が、すごくよくわかります。
私の田舎にある三角の山は、本来の名前ではなく「日本ピラミッド」と呼ばれています。百年後くらいにはきっと歴史的事実になっちゃうんだろうな。ほかにも「ヘブライ語で日本民謡が読める」とか「アポロは月に行ってない」とか、耳に心地よい妄説は根強いですよね。
偽書が元になって世界的な勢力が生まれることもあります。アメリカの巨大なキリスト教もどき教団の経典も偽書ですが、これを指摘し続ける人はあまりいません。
偽史・偽書のたぐいは死に絶えることがありません。信じたい人がいるだけでいい。「東日流外三郡誌」もきっと近いうちに復活するでしょう。いや、すでに書店には「偽書とされるが実は真実を書いた部分もある」というスタンスで紹介している本が並んでいます。ちょっとしたエクスキューズさえはさめば、どんなトンデモだって出版できちゃう世の中です。
単なる労作じゃないです。真摯に事実と向かい合い、耳に心地よくないことを書き残した、勇気ある記録です。その結果、人間心理の深奥に切り込む鋭いルポになりました。





